変形性膝関節症について

加齢とともに感じる膝の痛み。「がまん」ではなく「相談」を

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痛みの感じ方は、一人一人違います。肥満の度合いや筋力の弱さなどで症状は異なってきます。筋力が弱くなると、関節に悪影響を及ぼすケースも多くあります。高齢者の場合、足腰が弱くなり少々痛みを訴えても、本人も周囲も、年だから仕方がないと思っておられる方もいるかと思います。ただ、そのまま放っておいて症状が悪化してしまうと、転倒して骨折してしまうなど、大きなケガを招きかねません。少しでも痛みや違和感を覚えた場合は、早めに受診される事をお勧めします。
特にシニア世代にとって、「膝の痛み」は決して他人ごとではありません。
我慢をしないで、気になる膝の痛みについて、原因を知り、適切な治療を行うことで症状の改善が期待できます。

 

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変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)

ひざに痛みのある方に多い加齢変化の一種で、女性に多く見られる症状です。ひざの内側の軟骨が変性、摩耗し徐々にO脚となるのが代表的な症状で、立つ時や階段の上り下りなどに痛みがあり、進行すると日常生活で歩くことも困難になっていきます。

 

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大腿骨顆部骨壊死(だいたいこつかぶこつえし)

ひざ関節に接している大腿骨の先端の組織が壊死する病気です。中高年以降の女性に多く見られ、エックス線やMRI検査をして壊死した部位を確認することができます。壊死した組織がつぶれると痛みが増し、特に夜間や安静時に強い痛みを感じることがあります。

 

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保存療法と手術療法

ひざの痛みの治療方法には、大きく分けて保存療法と手術療法の2つがあります。
保存療法にはリハビリテーション、装具療法、薬物療法、日常生活指導などがあり、これらを組み合わせて行われます。
手術療法は、保存療法で効果が得られない場合に選択されます。術後は適切なリハビリを行いながら回復を待ち、退院時には自分で歩いて帰る場合がほとんどです。
退院後も定期的な受診や適切なリハビリ等の保存療法を行うことで、その後も長い期間元気に歩ける状態を保ちながら生活することが可能となります。

 

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手術療法例-1  《関節鏡視下手術》

関節の周囲(皮膚面)に2~3箇所の小さな穴を開けます。その後関節に光ファイバーと小さな高性能カメラで構成された内視鏡を挿入して損傷部位を修復したり、不要な遊離体や損傷組織を摘出除去します。変性した半月板や軟骨、増生した滑膜や骨棘の処理も行います。
傷口も小さく、手術後数日で歩行可能で、早期に社会復帰ができます。ただし、効果の持続性が短い場合もあり、症状が進行している場合には適応とならないことが多い手術方法です。 

 

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手術療法例-2  《人工関節置換術》

変形性膝関節症や関節リウマチによって傷んで変形した膝関節の表面を取り除いて、人工関節に置き換える手術です。
人工関節は、関節の滑らかな動きを再現できるようできています。手術翌日から立って歩くことができたり、入院期間も短くすむ場合が多いです。
ただし、正座がしにくくなったり、人工関節がすり減ったりゆるんだりすると入れ替えが必要となるため、定期的な検査が必要となります。

 

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手術療法例-3  《高位脛骨骨切り術》

高位脛骨骨切り術(HTO手術)とは、脚の形をO脚からX脚に変える手術で、内側に曲がっている脚を、自分の骨を切って角度を変えることで、反対の外側に移動させます。骨が癒合するまで多少痛みがあったり、リハビリをしっかり行う必要がありますが、自分の関節を温存し、機能を維持することができるため、術後の日常生活の制限が比較的少なくなります。
正座がしやすかったり、スポーツや農業などの仕事へ復帰される方も多くいます。

 

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くろさわ病院 院長/整形外科

黒澤 一也 医師

どの治療法を選択するかは、患者さん一人ひとりが望むゴールによって変わってきます。
よく相談した上で選択していきましょう。

 

お問い合わせ

くろさわ病院

0267-64-1711

Fax:0267-64-1705
住所:〒385-0051 長野県佐久市中込1-17-8

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